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保釈はどのような場合に認められますか?


逮捕勾留された人が起訴されたら,原則としてその後も裁判終了まで勾留が続いてしまいます
しかし,一刻も早く釈放されて家庭に戻ってきてほしいというのが,ご家族の切なる願いでしょう。
そのために保釈制度があります。 

保釈とは,保証金の納付等を条件として,暫定的に被告人の身体の拘束を解く制度のことをいいます
これは起訴後の被告人についてのみ認められます。 

被告人は有罪の判決を受けるまでは無罪と推定されていますから,できる限り身体の拘束を避けるのが望ましいですし,有罪判決を受けたわけでもないのに身体の拘束をされる被告人の苦痛は大きいので,このような制度が設けられました。 

保釈が認められるには,犯罪の証拠を隠滅するおそれや逃亡のおそれがない場合でなければなりません
例えば,犯罪の証拠を隠滅するおそれとは,被害者や目撃者に供述を変更するように不当な働きかけをしたり,証拠物を処分したり隠したり,うその証人や証拠物を作り出すおそれがあることをいいます。

このような事情があると,保釈は認められません。
また,被害者などに仕返しをする(いわゆるお礼参り)おそれがある場合,一定の重罪事件等の場合にも保釈は認められません。 

逃亡のおそれがあるかないかは,身元引受人がいるか,保釈後の住居が決まっているかなどが考慮されます。
例えば,扶養すべき家族とともに自宅に居住していて,長年会社に勤務し,職場においてもそれ相当の立場にある場合には,これらの地位を捨ててまで逃走する危険性はないと判断される可能性が高いです。 

また,保釈の必要があるどうかも考慮されます。
例えば,身体を拘束されていることによって失職のおそれのあること,会社の仕事に重大な支障を来すこと,家族の経済的基盤が失われることにより家庭崩壊のおそれのあること,また,被告人が高齢または重病のため長期の身体拘束に耐えられないなどの事情が考慮されます。
 
保釈の手続は,まず弁護人が保釈請求書を作成し,裁判所に提出します。

そして,裁判所は,保釈に対する検察官の意見を求め,弁護人からも意見を聴くなどした上で保釈の許否を決定します。
弁護人が担当裁判官と面接する際に,身元引受人になられる方やご家族も同席して直接事情を説明していただくこともあります。
保釈が許可されたときは,裁判官の決めた保証金を納めることによって,被告人が釈放されます。 

保証金額は,150万円から300万円の間で決定されることが多いようです。
保証金は逃亡のおそれがないことや被告人の出頭などを保証するものですから,金額の決定には,犯罪の性質や情状,また被告人の性格や生活環境などが考慮されます。
なお,保証金は,裁判所の呼出に応じないことや逃亡のおそれがあることなどの理由で保釈が取り消されると,没収されることがあります
没収されなかった保証金は,判決の言渡し後に返還されます




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