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第1回公判はどのように行われますか?


第1回公判では,勾留中の被告人は警察署の留置場か拘置所から当日裁判所に押送されており,開廷時間に看守又は刑務官により法廷に連れてこられ,手錠を外されて弁護人席の前に座ります。
裁判は公開の法廷で行われますので,事件関係者以外の誰でも傍聴席で傍聴可能です。 

検察官,弁護人も出廷し,関係者がそろうと,裁判官が法廷に登場します。
このときは検察官,弁護人だけでなく傍聴席の人も一緒に起立して一礼することになっています。
これは裁判官が偉いからではなく,厳正公平な司法の権威に敬意を表すためです。 

殺人,強盗その他一定の重要事件は,合議事件といい3名の裁判官(向かって真ん中が裁判長でベテランの,左側が中堅の,右側が若手の裁判官で構成されています)で行われます。それ以外の事件は1名の裁判官で裁判が行われます。 

裁判官が開廷宣言をし,被告人を証言台の前に立たせ,最初に冒頭手続が行われます。
まず人定質問といって,裁判官が出廷している被告人が起訴状に書かれている被告人かどうかを確認するために,被告人に氏名,生年月日,本籍,住所,職業を質問します。 

次に検察官が起訴状の公訴事実と罪名・罰条を朗読します。
これが裁判の審理の対象(訴因)になります

公訴事実の記載内容について,釈明が必要な場合は弁護人の申し出により裁判官から検察官に釈明を求めます。
これにより,訴因が特定され,被告人・弁護人の防御の範囲が確定されます。 

その後,罪状認否が行われます。
裁判官から黙秘権(法廷で終始沈黙することもできる権利。ただし,法廷で話したことは被告人の有利にも不利にも証拠とすることが出来る)の説明がなされてから,公訴事実に対し,事実はそのとおりか違うかを被告人に尋ねます。

被告人がここでどのような認否をするかは,その後の公判の推移を左右する重要な手続ですから,弁護人は,被告人とよく打ち合わせて,被告人の言葉も指導しておきます。

その後で弁護人も,公訴事実の存否及び犯罪の成否に関する法的意見を述べます。 

これで,冒頭手続が終わり,被告人は元の席に戻って座ります。
ここから証拠調手続に入り,最初に検察官が証拠により証明しようとする事実を述べます。
これを検察官の冒頭陳述といい,被告人の身上,経歴,前科・前歴の有無,犯行に至る経緯,犯行状況,犯行後の状況,本件発覚の端緒,情状などが述べられます。

そして,その事実を立証するため,検察官から証拠の取調請求がなされます。
被告人に関する証拠を乙号証,それ以外を甲号証と呼んでいます。 

これに対し弁護人が証拠とすることに同意するか否か(証拠物については取調べに異議があるか否か)の意見を述べます。
自白事件の場合は,通常そのほとんどを同意することが一般的です。

同意等があった証拠について,その場で取調べが行われます。
書証については検察官が内容の要旨を説明し,証拠物については検察官が被告人に示し,事件との関連性と所有関係の質問をしています。

不同意の書証については,検察官がその供述者を証人申請すれば,次回に証人尋問が行われることになります。
ここまでが,検察立証です。 

その後,弁護人立証に移ります。
自白事件では,弁護人から情状関係を立証するため,示談書,嘆願書,反省文等の書証を弁号証として取調請求します。
検察官の同意があれば証拠採用されます。

次に情状証人として職場の上司を証人申請し,今後も被告人を雇い続け,仕事を通じ監督する旨を誓約してもらいます。
また,家族(親,配偶者など)を証人申請し,被告人の性格,日頃の生活状況,被告人の反省の程度,今後の監督誓約などを証言してもらいます。 

最後に,被告人質問を弁護人から先に行い,事件の経緯,動機,結果,反省の有無,後の生活,更生の意思などを被告人の口から話してもらいます。
どの被告人も「反省しています」「二度としません」と口では必ず裁判官に言いますが,心からの言葉かどうかはすぐに見破られてしまいます

自白事件では,単に被告人が軽い刑になるように努めるだけでなく,心からの反省と被害者に対する謝罪の気持ちを被告人に湧き起こさせ,被告人を更生させることが,弁護人の重要な任務です。
私たちは,そのような考えで,刑事弁護に取り組んでいます。 

弁護人立証が終わったら,検察官の論告・求刑と弁護人の弁論が行われ,最後に再び被告人が証言台の前に立って,最終陳述の機会が与えられます。そのときには,簡潔に被告人の心境を述べるようにしています。 

裁判官が次回判決期日を2週間くらい先に決めて,第1回公判が終了します。
このように自白事件では1回の公判で結審して次回は判決のみとなる運用が原則となっています。
公判の時間は事件により異なりますが,通常1時間で終了します。 

傍聴席で聞いているだけでは裁判手続は分かりづらい点がありますが,この項の説明を読んでから法廷傍聴すると,公判の手続が少しは理解できると思います。




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