刑事事件のご相談ならお気軽にお問い合わせ下さい/刑事弁護相談室

判決での量刑はどのようにして決まりますか? 


どの犯罪も,その犯罪に見合った刑罰が定められています。
例えば,殺人罪では死刑又は無期もしくは5年以上の懲役刑,傷害罪では15年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。

これを法定刑といいます。
実際の刑事裁判では,その法定刑の範囲内で,その事件の犯情,つまり犯行に至る経緯,犯行動機,犯行態様,結果,社会に与えた影響などと,一般情状,つまり反省の程度,身上経歴,前科前歴の有無,被害弁償の有無,被害感情,事実上及び社会上の制裁の有無,生活環境の整備の有無,再犯の可能性の有無などを考慮し,過去の同種事件での量刑相場をも斟酌しながら,刑の種類を選定し,刑期が量定されます。 

被告人にとって,最も軽い刑は罰金刑であり,次に有期懲役刑です
有期懲役刑であっても執行猶予が付されれば,直ちに刑務所に服役することを猶予されます

そして,猶予期間中に再び犯罪を犯して懲役刑に処せられることなく無事執行猶予期間が経過すれば,刑の宣告がなかったことになります。
したがって,被告人にとって,実刑になるか執行猶予刑になるかは,天と地ほどの差があります。 

執行猶予が付されるには,有期刑の量刑が3年以下でなければなりません。
執行猶予期間は,2年から5年までの間で事案に応じて定められます。 

また,判決の量刑は検察官の求刑を参考にして判断されます。
一般的に,検察官の求刑の8掛けが判決の量刑だといわれています

もちろん,検察官の求刑が軽すぎるときは,裁判官は,求刑より重い量刑を言い渡すこともあります。 
一概には言えませんが,検察官の求刑は,8月,10月,1年,1年6月,2年,2年6月,3年,3年6月,4年,5年・・刻みであり,求刑が3年6月とか4年以上の場合は,検察官は執行猶予ではなく実刑を強く求めているといえます。 

一方裁判官が執行猶予判決を言い渡すときは,量刑は求刑どおりとすることが多いといえます。
また,量刑が求刑の半分に削られたときは,検察部内で控訴するかどうか審議の対象にされますので,裁判官は,求刑の半分まで下げた量刑を言い渡すことは少ないといえます。